特別養護老人ホーム申し込みに至るまでの胸の内
家族の介護は突然始まり、とっさの判断を迫られ右往左往するもの。東日本大震災から10年、認知症におけるBPSD(行動・心理症状)、入院、転倒や骨折等、色々ハプニングが起こる度に、悩みながらもひとつひとつ乗り越えてきました。
5月22日に両親が特別養護老人ホームに入居してもう10日間が過ぎました。手続きや片付けも多少進み、精神的にも肉体的にも少しゆとりが出てきました。
家族の在宅介護で何が大変なのか?どうやって乗り越えてきたか・・・。
「ほめ介護」の実践記録をこれまで以上に 発信して行こう!と思えるエネルギーがやっと戻ってきた感じです。
今回のブログは、入居申し込みに至る胸の内を振り返って書きます。
ほめ介護は心の備え。介護世代の仲間たちへのヒントになれば幸いです。
特養申し込みを決めるまで・・・
父は2020年9月に体調を崩して救急搬送、CTを撮ったら腫瘍(おそらく直径10CMぐらい)から出血、腹水が1㍑ぐらい溜まっていたそうです。
腫瘍が大きいため開腹手術をしたらひと月は絶対安静、年齢的に寝たきりになるリスクが高いと言われました。
今後のQOLを考え、これ以上大きくならないように腫瘍付近の太い血管をクリッピングという技術で止める血管塞栓術を選びました。それは、原発巣(げんぱつそう・腫瘍の原因)か分からない対処処置。いつ腫瘍からの出血が再発するか分からない状態での退院でした。
退院後に兄から、「お父さんがまた入院したらね、お母さんを1人で置けないしさ、今のお父さんの体力的だけでなく、精神的にも2人暮らしはもう限界だぞ。そろそろ施設を考えた方がいいと思うんだよね。」と打診されました。
当時の医療・介護でサポートしてくださっている皆様は良い方ばかりで相談しやすく、このまま余生を穏やかに過ごせたらいいなぁと思っていた私は在宅看取りの覚悟をしていたから、直ぐに合意する心境ではありませんでした。
ただ、父の入院時に認知症の母のケアがものすごく大変でしたので、父が元気な内に手続きを進めることは自分だけではなく、家族全員のためかもしれないと思い直してケアマネージャーさんに相談することに決めたのです。
特別養護老人ホーム入居出来るのは要介護3以上。うちの母は要介護4、父は要介護3になったばかり。ケアマネージャーさんいわく、「お母さまは直ぐに入れるんじゃないかなぁと思います。お父さまはどうでしょうね・・・。今800人ぐらい入居待ちだから難しいかもわかりません。でも先ず申請してみましょう。」
当時私は介護に専念し週6日~7日通っており体力的、精神的、経済的にも限界を感じていて、申込み手続きをしただけで何か1歩前進したような気分になれました。
入居の打診
ある日目黒区の高齢福祉課からヒアリングの電話がきて、「別々でも大丈夫ですか?」と聞かれました。
デラコ「実は・・・うちの父は母が大好きというか、支えるのが生きがいなんですよね。出来ればなんですけれども一緒の施設が望ましいんです~。」と伝えると、「そうなんですか!かしこまりました。ただご希望の方が沢山いて同時入居は難しいとは思うんですけれども、ご要望は伺っておいて出来れば調整してみます。」とのことでした。
母は100番台、父は500番台。難しいかも・・・と思いつつ、そん時はそん時。なんとかなるさ!と楽観的に考えていました。
年が明けた2月初旬くらいに新しく4月にオープンする特別養護老人ホームから「お母さまが入居できますがいかがですか?」と連絡が来ました。
デラコ「家族に相談してお返事します。いつまでのご連絡したらいいですか?」と告げると、「4月1日にオープンなので、2月末までにお返事ください。」とのこと。
個人的な感情としてはさみしいような、でも嬉しいようなほっとするような・・・。それと同時に「父になんと伝えよう・・・理解してもらうにはどうしたら?」など色々な感情が沸き起こり、プチパニックになりました。
終わりの意識は、人を優しくする
ほめ達認定講師として、セミナーや研修などで「ほめ介護」をお伝えしている身だけれど、家族の介護って本当に難しいものです。知っている、分かっていることが実際にうまくできるか?は別物なんですよね。
多少のことでは動じなくなりましたが、異常行動が増えるとイライラして怒りのコントロールが本当に難しい。
例えば徘徊や異食(食べちゃいけない石鹸・スポンジなど)、特に「弄便(ろうべん)」については悩まされました。
オムツに便をしたとして、それを便だと認識できなくなりました。
「気持ち悪いなぁ・・・。これはなんだ?」と触ってしまいます。
トイレに行ってる時だったら直ぐ洗えるからマシだけど、それで布団を汚してしまうこともしばしば。こびりつき汚れを洗うのもひと苦労。
つめに入り込んだ便は乾燥してこびりつくと落とすのが大変。100均で買った爪ブラシは「痛い~、辞めて~、助けて~」と叫ばれて大騒ぎ。
甘皮を取るウッドスティック、舌ブラシを導入したら毛が細くて柔らかく、スティックも取りやすい!ヘルパーさん、訪問看護師さん、デイサービスに「いいですね!やりやすいです!」とほめられました。
介護には必ず終わりが来るもの。しかし、渦中にいるとそう思えないのが現実です。
勇気を出して特別養護老人ホームに申し込むということは介護のゴールが見えるから、気持ちに余裕をもたらします。
気持ちに余裕が出来ると、「この生活はもう直ぐ終わるんだ。後悔しないように優しくしよう。」と前向きなれ、
落ち着いて対処できる回数が増えました。
悩みを1人で抱え込むと辛くなるから、早めにその都度プロに相談して欲しいと心からそう思います。