「ほめ介護」特別養護老人ホームで変化が!

2023年11月某日、ホームページ経由で「ほめ介護」の執筆依頼を頂戴しました。介護士・看護師などプロの認知症ケアに携わる方向けに個別ケア実現への具体策を6000文字。これまで学びながら実践してきたことをお伝えする良い機会なので二つ返事でお受けしました。

担当の方にバックナンバーを頂戴して確認したら、「ケアに苦慮するBPSD(認知症の行動・心理症状)への効果的なケア」、「利用者の暴力・ハラスメントから身を守る具体策」、「不適切なケアの見直しと虐待予防」等、現場の方がどうやって困難と対峙するかの提言。かなりシリアスな内容でした。

現場で再現性があるのか?どういう効果があるのか?の検証

私はこれまで「ほめ介護研修」をプロの介護者向けに何度かオンラインで提供したことがあるのですが、1回のみでの単発物のため実際に現場でどんな変化があったか効果検証が出来ていませんでした。

勇気を出して父が入居している特別養護老人ホームの統轄園長さんにメールをして「ミニセミナーの実施と1か月後にフォローアップ」で効果検証をさせていただけないかお願いをした所、「現場を任せている施設長さんに相談してみて欲しい」とのことで、お時間をいただいてレジュメを観ていただきながら講座概要と所要時間等をプレゼンして2セッション開催をご快諾いただきました。

12月11日に60分のミニセミナーをして、1月9日に質疑応答と実施後のフィードバックをいただきました。ミニセミナーは8名様がご参加くださいました。介護職の方5名、うち技能実習生のネパール人の方が3名。海外の方のご参加は初めてのケースでした。

私の研修は講義+ワークの体験型。対話をしながら学びを深めていただきます。内容は、ほめ介護の健康効果、「ほめるとは?」を考える、ほめ達!の「ほめる」とは、誰でもほめ達になれる魔法の口ぐせ、ほめ介護とは、ほめ介護実践後の両親の変化、ほめ方のコツ、実施の際の留意点。

皆さんちょっと照れながらも笑顔で実践してくださいました。業務でお忙しい中ご協力いただきありがたかったです。

スライドの中に在りし日の母の様子も何枚かあります。「あー貞子さんだ、懐かしい」と思い出話を語っていただき嬉しかったです。

1カ月後の変化、「フロア全体が明るくなった!」

ドキドキしながら、フィードバックセッションの日を迎えました。この日はシフト変更やお休みのため、前回参加してくださった主任さん1名、他のフロアのスタッフから引き継ぎをして参加してくださった主任さんの2名とお話することが出来ました。

デラコ「いかがでしたでしょうか?」 下記主任さんコメント
①「効果ありました。利用者さんの笑顔が増えて、挨拶の前に笑ってくれるようになりました。呼んでくれる回数が増えて、会話が長くなったんです。

例えば「エプロンをきれいに畳んでくれてありがとうございました」とほめると、その隣にいた人が「そうなのよ、この人すごいのよ」と会話の輪が広がって全体的に話がはずむんです。

積極的に手伝ってくれるようになって、「またお願いします!」って言ったら、いつもより多く畳んでくれました。

なんとなく職員同士、利用者同士が仲良くなりました。」

②「技能実習生さんが率先して掃除をしてくれるようになったのと、挨拶するのが苦手って言っていたRさんが「名前+挨拶」を積極的に言ってくれるようになりました。」

③「人見知りだったスタッフが明るくなったんです。すごい変わりました。本人的にすごい努力してるんだろうなって感じました。」

④「利用者さんのご家族にも近況を話しやすくなりました。」⇒ ほめ方のコツ「当たり前をほめる」の実践


リクリエーションの時にほめたら、照れながら笑顔が増えて取り組みに変化が感じられました。」

業務に追われていると、ほめられないとおっしゃっていたので、「くれぐれも無理はしないでくださいね。」と言いました。心に余裕がない時に「ほめる」のは難しいんです。

「コツとしては、お風呂の時とか1対1の時がほめやすい」と逆に教えていただきました。昔の職業をきいてほめるそうです。なんか光景を想像するとホッコリしますね。これも原稿にいれるんだった・・・。

課題としては、ほめる所が少ない人をどうほめるか?とおっしゃっていました。怒ってばかりいる人、会話が少ない人は難しいそうです。

1カ月の間にしっかると意識してほめようとして下さったんだなと感動しました。私からのアドバイスとしては、「最初はしゃべりやすい、ほめやすい人で経験値を上げていただく。」とお伝えしました。

フロアの雰囲気が良くなれば虐待の抑止力にもなるかもしれない

「人数が少ないとどうしてもキツイから場が悪くなるんですよね。スタッフのピリピリした雰囲気って利用者さんに影響しちゃうんですよ。楽しく和気あいあいと関わり合っていたら、虐待とかも起こりにくくなるんじゃないかなって思うんですよね。」

私も親の介護をしていた時に心が余裕がない、体調が悪い時に限って、母がつば吐きや冷蔵庫の卵が割られたり、食べ物が散らかっている時に「なんでそんなことするんだ!」って声を荒げたり、叩きたくなったことあります。でも、「ほめ介護」の実践者として踏みとどまりました。技や型を身につけることで、本来あるべき状況に軌道修正しやすいんですよね。

終わった後に施設長さんから、「目に見えて変化があったようなので、これからも続けていきたいと思います。」とおっしゃっていただきました。

効果検証のおかげで、自信をもって原稿を書くことが出来ました。

本が出来上がるのは3月。とっても楽しみです。

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