試練からのギフト②救急医との面談。延命治療の意思確認
試練という言葉からイメージするものは人それぞれに異なりますね。
今私が経験していることは、”大切な家族の命の危機”。正解がない中、考える猶予もないままに保護者としての決断を迫られています。
これまで仕事などで数々の試練を経験してきたつもりでしたが、現在直面していることの責任の重さは比べものにならない・・・。
自分の選択が両親の今後の人生を左右するという現実と日々向き合っています。
人は試練を乗り越える時、強さと忍耐力を身に付けて人間力が育まれると言われています。今がその時と腹をくくって1つ、1つの課題をクリアしながら今日に至ります。
試練の時だからこそ、成長を感じたり、大切なことに気づけるものですね。
この貴重な機会に対峙しながら、突然起こる家族の入院に際して事前に知っておいて欲しい!と感じたこと『試練からのギフト』をシリーズとしてまとめています。
今回の内容は救急医との面談。延命治療の意思確認について。
前回の内容は『試練からのギフト①父の入院』をご参照ください。
救急医との面談
9月2日吐血から救急車で運ばれた父。救急室の前で祈りながら待つ。夕方にケアマネージャーさんから、「特別養護老人ホームに連絡を取って緊急措置として受け入れを許可してもらえました。デイサービスの方が送ってくださるそうです。親切で良かった!」と連絡をいただく。ひとりで家に置いておけない母、気がかりが1つ消えたので、父のことに集中。
救急医に呼ばれる。50代半ばぐらい、安心感のある声で人当たりが良さそうな方だった。
ドクター「吐血されたということでしたから、まず単純CTを撮ってみましたので画像を見ながらご説明いたしますね。
お父様のお腹の左側にかなり大きな腫瘍があるんですよね。おそらくこれから出血しているのではないかなと思います。腹水が1リットルぐらい溜まっていました。」
デラコ「そうだったんですね。」
ドクター「詳しくは造影剤を投与したCTをしてみないと分かりませんので、ひとまず入院していただき明日検査してみようと思います。」
デラコ「お願いします。」
延命治療についての確認
腫瘍の存在と父の重体は想定外の事態ではありましたが、4年前に母が正常圧水頭症で入院した際に家族会議をしていたため、患者側としての意思を迷いなく伝えることができました
ドクター「出血が続いてしまうと、心停止などの可能性もあります。その場合に心臓マッサージを行うのですが、高齢の方の場合は骨がもろいために肋骨が折れる危険性がございます。延命措置は希望されますか?」
デラコ「父には事前に確認しております。「万が一の時に心肺蘇生はしない、人工呼吸器はつけない。口から食べられなくなった場合、胃ろうはしたくない。」と聞いております。」
ドクター「きちんと話し合われているのですね。それは助かります。承知いたしました。」
皆さんはご家族の万が一に備えた対話をしていますか?
緊急時の延命について本人の希望を事前に把握している・していないかで、心理的負担が変わります。
中々話しづらい内容だからこそ、元気で意思疎通ができる時に話し合っていただき、ご本人の意思を把握することをお勧めいたします。
身体抑制・拘束について
最近短期記憶が危うくなってきた父。服薬はまだしていないけれど、もしかしたら認知症が始まってきたかもしれないなと思っていた。
病院側から、「尿に関してはカテーテルをつけており、点滴の継続投与及び貧血が進んでいるので輸血を行う予定です。自己抜去による生命の危険がありますので、患者様の安全を守るため治療の一貫として必要最低限の身体抑制を行う可能性があります。事前に同意書にサインをお願いできますでしょうか?」と言われた。
元来病院が大嫌いで、まだ自分はしっかりしていると自負がある父。性格上身体抑制を受け入れるか不安があったが、命の危険には変えられない。”可能性がある”ということは、やらない可能性もある?と判断して同意書にサインをした。
ヒーローあらわる
パートナーのこ~さんから「今からバイクで迎えに行くよ」と連絡をもらい夜間外来で合流した。
こ~さん「大変だったね。」と肩を抱いてくれた。
夕飯どうする?と聞かれ、「炊いたばかりの酵素玄米二号とぬか漬けがあるんだよね。それと冷凍餃子でどう?」と言ったら、
こ~さん「こんな時なんだから、おいしいものを食べよう。ごちそうしますよ。」と言ってくれたので素直に甘えることにした。
間もなく20時半。空は今にも振り出しそうな雨雲が立ち込めていた。バイクの駐輪場に停めたころ、ポツポツと降り始めたので、電車で奥沢まで移動。
行ってみたいなと思っていた居酒屋にふられ、なじみの寿司屋もネタ切れ・・・。自由が丘ならば色々あるよね、と移動した時、裏路地に良さそうなお店を発見。豚しゃぶ居酒屋はなぶさん。
デラコ「入ってみちゃう?」と中に入り、ラストオーダー30分前に間に合った。
カウンターを抜けて、奥のテーブルに通される。お通しはアラ汁。お出しが効いて上品な薄味。疲弊して腹ペコの我らを癒してくれた。
雨音が聞こえ、一部ガラス張りの屋根から雷雨が見えた。あのまま彷徨わなくてよかったね!と安堵。
ビールでのどを癒し、おでんや特製の鳥からをいただく。お料理はそれぞれ丁寧で繊細な味付け。日本酒の品ぞろえも豊富で、おかみさんに好みを伝えて持ってきてもらう。また来訪したくなる良店だった。
美味しく食事ができる、お酒が呑めるのは健康だからこそ。
帰る頃には雨もあがり、満月を愛でながら帰った。
親孝行をする時は不思議な程に雨が避けてくれるから、見えない存在のご加護が感じられる。
続く・・・