穏やかに親の死に寄り添うヒント。枯れるように亡くなる「平穏死」について

今回の内容は、終末期の看取りがテーマです。「食べない親」をどう支えるか
「食べないこと」をどう受け止めるか

大切な友達Mさんからの相談と、彼女に伝えたアドバイスを書き記そうと思います。※ご本人の許可は事前にいただきました。

「食べない親」に寄り添うのはつらいよ

Mさんのご両親は昨年ぐらいに故郷の家を引き払い現在サービス付き高齢者向け住宅に住んでいます。近くに住むMさんは時間を作っては車いすにお母様を乗せて、お父様とのウォーキングをしたり、ご飯の介助等をこまめサポートするいる孝行娘。今お父様は要介護1、最近お母様の体調が悪化して寝たきりの状態になり要介護5に上がったそうです。

前回会った時、「母が入れ歯を入れてくれないんです。」と相談されました。うちの母も入れ歯拒否は半年くらいありました。

デラコ「それ困るよね・・・噛めなくて固形食が食べられない時は流動食。先ず脱水と誤嚥に気をつけてね!

経口補水液ゼリーとか、高カロリーゼリーのプロテインや鉄とかが入った栄養補助食品が色々あるのよ。クリニコさんのとか美味しいよ。あと、うちはメイバランスとかエンシュアとか、処方してもらって飲ませてた。知り合いのお医者さんとかお母さんのご飯ハーゲンダッツって言ってたよ。終末期はカロリーがそこそこ取れて、本人が喜んで食べられたらさ、なんでも良いと思うんだ。」とアドバイスをしました。

その後、ちょっと食べてくれるようになって元気になったと連絡をもらい安心していたのですが、状況が変わったらしく、メッセージをもらいました。

Mさん「母が食べなくなりました。お時間がある時に相談にのっていただきたいです」

デラコ「今話せる?」と返事を返して、直接話を聞きました。

医師による治療拒否

Mさん「最近母は食べられないだけでなく、お腹を痛がっていて苦しそうだったんです。ヘルパーさん曰く、オムツの様子から婦人科を受診した方が良いかも知れない」とのことでお母様を病院に連れていったらしい。

超後期高齢者の認知症の家族を病院に連れて行くのは着替え、移動、待機時間を含めて至難の業。「婦人科は予約しても混むでしょ?」と聞いたら2時間待ったそうです。「それは辛かったね」と労いました。

移動のために高額の介護タクシーを手配して、どうにかしてお母様の体調をを良くしたいMさんに対して婦人科の医師は「自分で診察台の上に座って意思疎通が出来ない方の治療は難しい。」と素っ気なく言い放ったそうです。

せっかく病院まで来て何もしないのは困るので、「ちょっとでもいいから診て欲しい」とお願いし、横たわるベッドで少し診た後、「先ほど説明した通り、お母様に継続した治療は難しい。経過観察しかないと思います。」と言われたらしい。

Mさん「経過観察しかないってどういうことでしょうか?ひどいですよね」

デラコ「うーん、たださ~認知症の高齢者の治療拒否ってアルアルなんだよ。うちの母もあったもの。」

母の症状は一時的に大量の下血(肛門から出血)、

医師から「大腸内視鏡検査が出来れば調べられるかもしれませんが、大量の下剤の液体を飲んで腸の中を綺麗にする第一関門が、お母様では先ず無理でしょうね…」と言われ「痛がったらまた考えましょう」とその旨を介護チームに周知、亡くなるまで経過観察で過ごした旨を彼女に伝えました。

デラコ「全然納得いかないと思うんだけどさ、診療台に座れない場合治療が出来ないというのはプロとしてやむを得ないのかも。婦人科の治療も検査も当人にとっても苦痛だもんね」と伝えたら、

「そうか…美和さんの話を聞いて、なんか怒りが少し落ち着いてきました。」と言ってもらえました。

穏やかな死に医療はいらない

お母様が食べないことを案じて、どうしたらお母様が元気になれるか?

今のサービス付き高齢者向け住宅ではなく、お母様だけを特養や治療してくれる病院にうつそうか検討しているMさんに、意を決して私なりの見解を伝えました。

デラコ「人はね、命が短くなると体が食べ物も飲み物も受けつけなくなるらしいんだよ。ただね、それって生き物として自然なことでご本人は苦しくないみたいなんだ。もしかしたら、お母さんは体を綺麗にして旅立つ準備に入ったのかもしれないね。」

「もし、施設が看取りケアをしてくれるのであれば、痛みをコントロールしながら、住み慣れた環境で最期の時をお父さんと穏やかに過ごすことは、お母さんにとっても、お父さんにとっても、Mさんにとってもベストかもしれないよ…」

Mさん「その発想はなかったです。そうか…そうかもしれない。回復を信じてどうやって治療できるかを考えていただけど、そうか…」

デラコ「分かんないよ。ここから又食べてくれるかもしれないし、希望は捨てないで!主治医の方やケアマネさんとかと相談して一番良い方法を選んでね。」と伝えました。

体調悪化した時に救急搬送するか・しないか等、家族の合意の元に納得した道を選んでほしい点

何か困ったら一緒に考えようと、電話を切りました。

「平穏死」とは何か? より理解を深めたい方へ

亡くなる体にはどんな変化が起きるのか? どうすることが本人にとって一番楽なのか?

母の看取りの直前に3名の訪問診療・緩和ケアの医師の提言により、大切な情報を得ることができました。ブログ、動画、ご著書等で貴重な情報を沢山提供されていますので、よろしければご自分でも調べてみてくださいね。

たんぽぽクリニック永井先生の【在宅医療】「自然に逝くということ」

在宅医長尾クリニック院長のドキュメンタリー映画「けったいな町医者」より
「枯れるように亡くなることが死にゆくご本人の体にとって自然であり負担が少ない」

緩和ケア医 萬田緑平先生の著書「穏やかな死に医療はいらない」より
「入院したら安心で、もっと健やかに長生きできると思わされている人が多い。穏やかな死に医療はいらない。」

 

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