試練からのギフト⑦父の挑戦。血管塞栓術(IVR)を受ける

病院が大嫌いで、白衣を見ると血圧が上がり、数年前は高血圧やコレステロールを下げる薬のお世話になったこともあるが、3年前ぐらいに卒薬の成功をした父。

薬を飲まないで日常生活を過ごし、医療機関のお世話にならないことを誇りに、「俺はどこも悪くない」が口癖。

しかし、80歳の後半になり足腰の衰えと共に短期記憶が危うくなってきたかなと思っていた所に突然の体調不良緊急入院コロナ禍での思いがけない事態、色々な重大な決断を迫られることに・・・。

突然起こる家族の入院に際して事前に知っておいて欲しい!と感じたことを『試練からのギフト』シリーズ(単発読み切り)としてまとめています。

これまでの内容はコチラ↓
試練からのギフト①父の入院
試練からのギフト②救急医との面談。延命治療の意思確認
試練からのギフト③父の病状説明と特養からの受け入れ拒否
試練からのギフト④母、まさかの病院も入院拒否!?
試練からのギフト⑤父の治療拒否
試練からのギフト⑥父の決断に寄り添う

血管塞栓術(IVR)とは何か?

今回父の腹部に出来た腫瘍に対して選んだ治療法、血管塞栓術(IVR)。正確には「Interventional Radiology=インターベンショナルラジオロジー」という。太ももからカテーテルを通し、腫瘍に栄養を送る血管にコイルを入れて出血を抑えつつ、腫瘍を小さくする試み。

IVRは、外科手術のようにおなかや胸を切らずに、体の奥にある臓器や血管の治療ができる方法のため、患者の体への負担が圧倒的に少ないという特徴を持つ。

IVRでは血管や管の“迷路”を体の外から観察しながら、カテーテル(血管の中を通すチューブ)や針を走らせ、目標である病気の元に正確にたどり着ける。造影剤(X線で流れが確認できる液体の薬)を流し、血液が漏れている場所、すなわち出血している場所を探しだす。

引用元 IVRって、なに?より抜粋

9月4日の14時過ぎ、父は覚悟を決めてIVRに備えて再度尿道カテーテルを装着するのを素直に受け入れてくれた。処置前、手術用の服に着替えて廊下で担架に乗せられたまま待機する父の手を握りったり肩をさすったりしながら呼ばれるのを共に待った。

そういう時に家族が出来ることは祈ることと、励ましぐらいだ。

デラコ「お父さん、きっとうまくいくからね。待ってるね。」と、運ばれる父を見守った。

パートナーに治療が進んだ旨を連絡すると、「がんばって。終わるころ迎えに行くね。」と言ってくれたので心強かった。

無事オペ終了

オペが終わるまでデイルーム(患者さんが食事をしたり家族と面会する場所)で待機した。

そこに仕事が終わったパートナーが合流。「がんばったね。」と笑顔で労ってくれたので、一人で抱えていた不安な心がゆるんだ。

18時過ぎにオペが終わって父が戻ってきたとナースステーションに呼ばれた。

F先生(主治医)「放射線科の先生によると、動脈を三本止めたので8割がた出血は治まっているそうです。

これで治まってくれるといいですね。

いやー治療にこぎつけられたのは娘さんのおかげです。ありがとうございます。今晩はナースステーションの隣の集中治療室で過ごしてもらって、明日ぐらいに前のお部屋に戻る予定です。

もし麻酔から覚めて夜中に起きてパニックになった場合、御呼びだてするかもしれません。その時はよろしくお願いします。」

デラコ「あら、そういうことも考えられるんですね。じゃあ今日はお酒控えめにします。ははは」

と和やかに病室を後にして駐車場に向かった。

エレベーターの中でパートナーに「美和さん、相当信頼されてるねー。夜中に呼ぶかもってさー、普通言わないよねぇ?」と言われる。

デラコ「いやー、そう言われてもやむを得ない状況だったからねぇ。あれはね、自分をほめたい。ははは。」

パートナー「んじゃね、がんばったからおいしいものごちそうしてあげる💗」

デラコ「やったー!!今日お昼も食べそびれたからうれしい!!」

父の入院、母の救急搬送とハラハラしっぱなしの三日間だったが、ようやくひと段落ついた気分だった。

つづく・・・

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