試練からのギフト⑨在宅介護の葛藤と向き合う

東日本大震災をきっかけに上京してきた両親。

父(要介護2)による認知症の母(要介護4)の老々介護は、ヘルパーさん、デイサービス、訪問看護、訪問リハビリ、往診など介護保険サービスをフルに活用して、二人暮らしをどうにか保っている。

しかし、父の入院により状況が変わり、そのバランスが危うくなって来た。

母は1人で過ごせないので緊急ショートステイに預けるはずが、シーツに達する程の下血により特別養護老人ホームから「病院じゃないからこの状態では受け入れられません!」と言われ、緊急搬送後の病院からも「現在出血が止まってらっしゃるようなので入院するレベルじゃないですね・・・」と入院を断られ、自宅に連れて帰ることに(詳しくは試練からのギフト③④へ)。

今振り返ると、私にとって父の入院よりも、下血の不安を抱えたままである母の在宅介護の方がプレッシャーだった。

大切な家族に対して優しく穏やかに接したいのに、父の入院対応に精一杯で心に余裕がなくイライラして、ついきつい言動になってしまうジレンマを抱え、正直心も体も疲弊していた。

今回のブログは次から次へと起きるトラブルに疲弊して、くじけそうになる自分自身と向き合いながら、シンドイ状況を乗り越えた際に活用した、アドラー心理学勇気づけの実践事例についてまとめました。

介護に悩む人や、対人支援の際のヒントになれば幸いです。

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突然起こる家族の入院に際して事前に知っておいて欲しい!と感じたことを『試練からのギフト』シリーズ(単発読み切り)としてまとめています。

これまでの一覧はコチラ↓
試練からのギフト①父の入院
試練からのギフト②救急医との面談。延命治療の意思確認
試練からのギフト③父の病状説明と特養からの受け入れ拒否
試練からのギフト④まさかの病院も入院拒否!?
試練からのギフト⑤父の治療拒否
試練からのギフト⑥父の決断に寄り添う
試練からのギフト⑦父の挑戦。血管塞栓術(IVR)を受ける
試練からのギフト⑧ほめ介護実践

身内の介護の難しさに直面

私は目黒区在住で、奇遇にも故郷の気仙沼目黒のサンマのご縁で目黒区とは姉妹都市である。東日本大震災で家を失くした両親は目黒区のご支援により仮設住宅扱いとして2年ほど無料で区営住宅に住まわせていただいた。そのご縁に本当に感謝している。

その後住民票を移して両親も目黒区民となり、今は区営アパート(2DK)に住んでいる。家賃は私の半額ほどで建物ははるかに立派だ。

2012年に脱サラして学んできたカウンセリング(傾聴スキル)、ほめ達、アドラー心理学は両親の介護現場で大いに役立ち、それらの経験が講座で伝える際にも活かされている

しかしながら、常に穏やかにホメたり、優しく出来るか否かは別もので、ついイライラしてしまうことは多々あるのが現実・・・。

イライラのきっかけは様々で、例を挙げると

      • 痛い、苦しい、気仙沼に帰りたい・・・等、どうにも出来ない訴えを大きな声で何度も繰り返す。     
      • 話の脈絡もなく童謡を突然歌い始める。     
      • 手づかみで食事をしようとする。     
      • 台所やトイレの床や布団に唾を吐き出す。
      • ふいた後のトイレットペーパーをいじる等、衛生的概念の欠如に対する嫌悪感
      • トイレに何度も行く。(1時間に8回ぐらい行くことも)

例えばトイレに関しては、1月に右手首を骨折して治ったばかりで転倒が不安な為いちいち付き添うから、家事を中断せざるを得ない。

具合が悪い、すぐに来て欲しいといつ呼び出しの連絡がくるか、どれくらい時間がかかるのかも予測できないため、なかなか予定が立てづらくビジネスもプライベートにも影響している。

父の入院前の滞在時間は長くても半日程度。それぐらいの時間ならば、”ほめ介護”を伝える講師としての矜持を保ち、平常心をキープして穏やかに接する割合は接し方を体系的に学んでいない方々よりは出来ているかもしれない。

しかし、だからこそ逆にイライラがコントロール出来なかったり、

優しくしなければと分かっているのに、「なんでそんなことするの?」と、ツイ辛くあたってしまったり、

ほめ達!のくせに・・・、アドラー心理学を学んできたくせになどと、

自分自身を責めてものすごく落ち込んでしまう。

そのような状況をアドラー心理学では”勇気くじき”という。

自己勇気づけを試みる

アドラー心理学の教えの1つに、勇気づけという手法があります。

勇気とは、「困難を克服する活力」であり、一歩踏み出そうとする力

勇気づけとは、困難を克服する活力を与えること。

一番大切なことは「勇気くじきをやめよう」とする意志を持つこと。

自己勇気づけのヒント

①まず、ネガティブな感情を否定せずに、いったんそのままに受け止める。

湧き上がる感情を認め共感することで心が軽くなる。

自分に対してできると、他者へも自然に出来るようになれる。

②困難と向き合っている自分自身を”がんばっているね”と労う(ねぎらう)

③辛いのは、悩むのは優しくしたいと真剣に思っているからとプラスの言葉に置き換える。

意外と効果があるのは①、自分を責めたくなる自分自身に許可をだすこと。

メンタルの健全性を保つには、自己否定と完璧主義をやめて

ありのままを認める。

これまで無意識に自分を責め続けてるループから中々抜けづらかった時に、

疲弊して余裕がなかったんだからさ、しょうがない。

よくがんばってるよ! など、一旦ありのままの自分を認めてみる。

自分を受け止め、ねぎらい、エールをおくる。それが自己勇気づけだ。

たった1回でもいいから、心が軽くなる経験ができたら大成功!

じょじょに、回数を増やしていけばいいんだと、気づくことができた。

皆さんも辛い時に是非試してみていただきたい。

続く・・・

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